大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

熊本地方裁判所八代支部 昭和48年(ワ)18号 判決

甲号・乙号事件原告

定森保

ほか一名

甲号事件被告

中津俊行

乙号事件被告

中津達男

主文

被告らは、各自、原告らそれぞれに対し、各金二三一万一、六〇九円ならびに各内金二一一万一、六〇九円に対する昭和四八年四月二八日から、各内金二〇万円に対する本件判決確定の日の翌日から、いずれも支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。

原告らのその余の請求をいずれも棄却する。

訴訟費用はこれを五分し、その四を原告らの、その余を被告らの各負担とする。

この判決は一項にかぎり仮に執行することができる。

事実

第一当事者の求めた裁判

一  原告ら「被告らは、各自、原告らに対し、各金一、〇〇〇万円ならびに各内金九四〇万円に対する被告中津達男への本件訴状送達の日の翌日から、各内金六〇万円に対する本件判決確定の日の翌日から、いずれも支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。訴訟費用は被告らの負担とする。」との判決ならびに仮執行の宣言。

二  被告ら「原告らの請求をいずれも棄却する。訴訟費用は原告らの負担とする。」との判決。

第二当事者の主張

(請求原因)

一  本件交通事故の発生

定森満子(以下「満子」という。)は、次の交通事故によつて、5記載のとおり死亡した。

1 日時 昭和四七年六月一四日午後一一時ごろ

2 場所 熊本県八代市植柳上町植柳橋上

3 加害車(甲) 軽四輪貨物自動車(六熊ち三三九)

右運転者 被告中津俊行(以下被告「俊行」という)

被害車(乙) 足踏自転車

右運転者 清水正

被害者 満子

4 態様 満子は、乙車の後部荷台に同乗して、前記植柳橋上を八代市植柳元町方面から迎町方面に向かつて進行していたところ、うしろを同一方向に進行していた甲車が乙車に追突したため、路上に投げ出された。

5 被害者の死亡 乙車に同乗していた満子は、右事故によつて脳挫傷及び硬膜下血腫の傷害を受け、これによつて、同年六月二一日午後一時一二分ごろ、熊本労災病院において死亡した。

二  責任原因

1 被告俊行は、前記植柳橋上を進行中、対向車の動静に注意を奪われて進路前方への注視が疎かになつたまま進行した過失により、乙車を発見することが遅れて甲車を乙車に追突させたものであるから、民法七〇九条にもとづき、本件事故によつて生じた原告らの損害を賠償すべき責任がある。

2 被告中津達男(以下被告「達男」という)は、甲車を所有して自己のため運行の用に供していたものであるから、自賠法三条にもとづき、同じく本件事故によつて生じた原告らの損害を賠償すべき責任がある。

三  損害

1 亡満子の逸失利益

(一) 事故当時の満子の年齢 二一歳

(二) 満子の年収 金二六二万〇、八〇〇円

満子は、事故当時、八代市水島町二〇九一番地の自宅において、「ミツワ美容院」を開業している美容師であつたが、これによつて、次の(1)ないし(3)の資料にもとづき算出できるように、少なく見積つても一カ月平均金二一万八、四〇〇円、したがつて年平均金二六二万〇、八〇〇円の収益をあげていた。すなわち、

(1) 一日当りの平均顧客数 六人を下らない。

(2) 一人当りのパーマ施術料金及び純益 料金は最低でも金一、五〇〇円であるところ、施術に要する薬品代、電気代などは金一〇〇円未満であるから、実収益は金一、四〇〇円を下らない。

(3) 一カ月当りの稼働日数 二六日

(三) 満子の消費支出 一カ月当り金六万八、四〇〇円、したがつて年間合計金八二万〇、八〇〇円である。

(四) 満子の年間純収入 (二)の年収から(三)の年間支出額を控除して得られる金一八〇万円である。

(五) 就労可能年数 四二年

(六) 年五分の中間利息の控除 ホフマン方式、係数二二・二九三

(七) 以上の資料により算定すると、満子の逸失利益は、金四、〇一二万七、四〇〇円となる。

2 原告両名が相続した満子の逸失利益 原告各自金二、〇〇六万三、七〇〇円

原告両名は、満子の相続人の全部で、同人の父母であるから、満子の右逸失利益の二分の一ずつ、金二、〇〇六万三、七〇〇円ずつの損害賠償請求権を相続した。

3 慰藉料 原告各自金一五〇万円(合計金三〇〇万円)満子の事故死による原告らの精神的苦痛を慰藉するためには、原告ら各自に対し、それぞれ金一五〇万円の支払をもつてするのが相当である。

4 損害の填補 原告各自金二四五万六、六一六・五円(合計金四九一万三、二三三円)

原告両名は、左記(一)及び(二)の金員を受領したので、これら金員の二分の一に相当する金二四五万六、六一六・五円を、前記2及び3の原告各自の合計損害額からそれぞれ控除する。

(一) 自賠責保険金四八九万三、二三三円

(二) 被告らから金二万円

5 弁護士費用 原告各自金六〇万円(合計金一二〇万円)

原告両名は、本件訴訟の提起及びその追行を弁護士に委任し、その弁護士費用として、原告両名連帯して金一二〇万円の支払債務を負担したが、原告両名の間における負担部分は、それぞれ金六〇万円ずつである。

四  結論

以上のとおり、原告両名は、それぞれ、被告ら各自に対し、前項2及び3の損害金合計金二、一五六万三、七〇〇円から同4の金二四五万六、六一六・五円を控除して得られる金一、九一〇万七、〇八三円(円未満切捨て)と同5の弁護士費用のうち各自の負担部分に相当する金六〇万円、以上合計金一、九七〇万七、〇八三円の損害賠償請求権を有する。しかし、原告両名は、本件訴訟においては、右の2及び3の損害金から4の金額を控除して得られる金一、九一〇万七、〇八三円の内金九四〇万円と右の5の弁護士費用金六〇万円、以上合計金一、〇〇〇万円を、被告ら各自に対し、それぞれ支払を求めることとする。

よつて、被告らは、各自、原告らに対し、各金一、〇〇〇万円ならびに各内金九四〇万円に対する被告達男への本件訴状送達の日の翌日から、各内金六〇万円に対する本件判決確定の日の翌日から、いずれも支払ずみまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金を、それぞれ支払わねばならない。

(請求原因に対する被告らの認否)

一  請求原因一項及び二項の各事実を認める。

二  請求原因三項の事実中、1、2ならびに5の各事実は知らない(なお、亡満子の逸失利益についての算定方法は、後記の資料にもとづきなされるべきである)。同3の慰藉料の額については争う。同4のうち、原告らが合計金四九一万三、二三三円の支払を受けたことは認めるが、その充当方法については知らない。

(亡満子の逸失利益について被告の主張)

一  原告らが主張する満子の逸失利益は、あまりに実態と離れた高額なものといわねばならない。すなわち、

1 当裁判所からの調査嘱託に対する昭和四九年九月一八日付八代市総務部市民税課々長の回答書によれば、満子の営業による課税年度別所得算出額は、昭和四六年度において金一四万五、〇〇〇円、昭和四七年度において金一〇万円というのである。ところで、税務署調査所得額と県市民税賦課台帳記載の所得額とはその取扱い上一致しており、しかもこれらが厳正かつ公平な税務専門家による所得調査の結果にもとづくことに鑑みると、税務対策上多少のごまかしがなされることを斟酌しても、本件地域のような納税者の多くもない場所において、税務当局が仮にも満子が原告らの主張のような収入を得ているとしたならば、これを見逃すとは考えられない。

以上のことを換言すれば、満子の営業による所得額は、原告ら主張のそれよりも、税務当局の前記課税年度別所得算出額の数字の方が実態に近いとみるべきであるということなのである。

2 また満子経営の「ミツワ美容院」の規模、立地条件すなわちその所在地、付近人家の状況、顧客層などと、近隣の同業者の規模、立地条件などとを比較検討すると、満子が近隣の他の同業者のそれを大きく上まわる所得をあげていたとは容易には考え難いところである。

二  かくして、満子の逸失利益の算出については、次のように考えるべきである。

1 まず、「ミツワ美容院」と類似する条件のもとにある近隣の同業者の所得を目安とすることである。

2 仮に1の方法が不適当であるとするならば、他に適切な方法もない本件においては、いわゆる賃金センサスによる額を算定の基礎とするほかはない。そして、この場合においては、都道府県別の熊本県分の賃金センサスによるのが相当である。

3 なお、満子の消費支出の割合は、その収入額の二分の一とみるのが適当であり、年五分の中間利息の控除は、本件についてはライプニツツ方式によるべきである。

第三証拠関係〔略〕

理由

一  請求原因一、二項の事実は、当事者間に争いがない。

これら争いのない事実によれば、被告俊行は民法七〇九条にもとづき、被告達男は自賠法三条にもとづき、それぞれ請求原因一項の本件事故によつて生じた原告らの損害を連帯して賠償すべき責任がある。

二  損害

1  亡満子の本件交通事故当時の収入

成立に争いのない乙二号証、証人徳田千鶴子の証言、原告定森保本人の尋問の結果によれば、次の事実を認めることができる。

亡満子は、昭和二五年一〇月一五日、原告定森保、同定森フサノ夫婦の間に出生したが、昭和四一年三月に中学校を卒業し、同年四月から八代市所在の「バンビ美容室」等において美容師見習をしながら修業し、昭和四四年三月には美容師の資格を取得した。そして、満子は、引続き「バンビ美容室」に勤務していたが、同じ美容師で姉である定森千鶴子(当時、現在徳田千鶴子)が昭和四四年夏ごろに八代市水島町二〇九一番地(原告らの現住所)において「ミツワ美容院」を開業したことから、昭和四五年一月ごろ、前記「バンビ美容室」を退職して「ミツワ美容院」において姉千鶴子の手伝いをすることになり、次いで千鶴子が同年四月二四日に結婚したのを機会に「ミツワ美容院」を譲受け、その後本件交通事故にあうまでひとりで「ミツワ美容院」を営業していた。

以上の事実を認めることができる。ところで、原告らは、本件交通事故当時、満子が「ミツワ美容院」の営業によりこれに要する諸経費を控除しても年平均金二六二万〇、八〇〇円の収益をあげていたと主張する。しかしながら、次に説示するように、原告らの全立証及び本件全証拠によつても、未だ「ミツワ美容院」の全収入額、諸経費の額についてこれらを的確に知ることができないというほかはない。

(一)  まず、甲五号証の一ないし三について検討する。

証人高橋正順の証言及びこれにより真正に成立したものと認められる甲五号証の一ないし三によれば、「ミツワ美容院」は、遅くとも昭和四六年五月ごろから「ナニワ商会」から美容薬品、化粧品等を継続して購入していたが、そのうち昭和四七年四月には金二万〇、六〇〇円、同年五月には二万二、九〇〇円、同年六月(ただし、満子が本件交通事故にあつた同月一四日までの取引分)には金一万一、四〇〇円相当の各取引があつてこれら代金がいずれも支払われた旨の領収証三通(甲五号証の一ないし三)が作成されている、ことが認められる。しかしながら、右領収証三通の記載及び証人高橋正順の証言のみによつては、「ミツワ美容院」と「ナニワ商会」との間の取引の実態を確定し難いといわねばならない。すなわち、「ミツワ美容院」と「ナニワ商会」との間の取引は継続してなされていたのであるから、これをその都度記帳しているはずの「ナニワ商会」備付けの帳簿類(民事訴訟法三一二条に照らし、これらを証拠として提出することが原告らにとつて必ずしも困難であるわけではない)、あるいは「ミツワ美容院」備付けの帳簿類が証拠として提出されるならば、これらの帳簿類による方が前記領収証によるよりもより直截に前記取引の実態を知ることができるはずであると思われるのに、これらは証拠として提出されない。かくしては、「ミツワ美容院」と「ナニワ商会」との間の取引状況を、前記領収証三通に記載されたとおりである、と認定するには、なお躊躇せざるをえないのである。

(二)  次に甲六号証ないし一三号証について検討する。

証人川口義春の証言及びこれにより真正に成立したものと認められる甲六号証ないし一三号証によれば、「ミツワ美容院」は、遅くとも昭和四六年二月ごろから「有限会社ワシズ(以下「ワシズ」という)」から美容薬品、化粧品等を継続的に購入していたが、そのうち同年九月二一日から昭和四七年六月一三日までの間の取引状況を記した「お買上高明細書送附御案内」と題する書面八通(甲六号証ないし一三号証)が作成されている、ことが認められる。ところで、原告定森保本人の尋問の結果ならびに甲六号証ないし一三号証の形式等によれば、右書面八通が、本件訴訟のため、事後に作成されたことは疑いの余地がない。そこで、これら書面の信憑力を知るには、単に証人川口義春の証言のみをもつてしては足りず、これまでに「ミツワ美容院」と「ワシズ」との間に比較的長期間にわたつて継続的取引が行なわれてきたことに照らし、これら取引をその都度記帳しているはずの「ワシズ」備付けの帳簿類(これも前記(一)同様、原告らが証拠として提出することができないものではない)、あるいは「ミツワ美容院」備付けの帳簿類が提出され、これらと比較検討されねばならないと考える。このようにして、初めて、右取引の実態が明らかになるというべきである。しかるに、右帳簿類は証拠として提出されない。かくしては、甲六号証ないし一三号証もすぐには採用し難いというほかはない。

(三)  以上のように、甲五号証の一ないし三、六号証ないし一三号証の信憑力に疑いを挾む余地があるかぎり、これら甲号各証によつて「ミツワ美容院」の収入を確定しようとしても、これはできない筋合である。

しかし、仮に一歩譲つて、右甲号各証が取引状況を正確に反映していると前提して、これに証人高橋正順、同川口義春、同徳田千鶴子、同野田勇の各証言を総合、検討してみても、「ミツワ美容院」の収入、諸経費等のおおよそもすぐには判明し難いといわざるをえない。なるほど、右証人らは、いずれも購入した美容薬品、化粧品の高から「ミツワ美容院」のおおよその収入を知ることができる、と証言し、当裁判所も、右各証人らの経歴、経験等に照らし、これらの証言を決して軽視するものではない。しかし、右各証言は、右の美容材料の購入高からいかなる根拠、方法によつて美容業者の収入を算出するかとなると、あるいは経験から割り出した指数によるとかあるいは業界で通常いわれている指数によるというものであつて、まさに右の指数のいわれこそ問題となり吟味されねばならないのに右指数のよつてくる根拠は、右証言において述べられる以上には明らかにならない。したがつて、このような証言に則り「ミツワ美容院」の収入を確定しようとすることは、やや安易に過ぎるとの謗りを免れないと考える。

(四)  なお、証人徳田千鶴子は、「ミツワ美容院」が毎月金三〇万円以上の収入をあげていた旨証言するが、これを裏付ける証拠、たとえば「ミツワ美容院」備付けの帳簿類等なにもなく、とうてい採用のかぎりではない。また、原告定森保もその本人尋問において、「ミツワ美容院」の収入について種々供述するが、これとてもそれを裏付けるべき適切な証拠はなにもなく、採用できない。

そして、他に原告らが主張するような額の満子の逸失利益を認めるに足りる適切な証拠は見当らず、また「ミツワ美容院」のおおよその収入、諸経費等を推計せしめるに足りる適切な証拠も見出すことができない。

以上要するに、原告らの主張、立証による方法によつては、満子の逸失利益の額を認定し難いということである。殊に、たとえ小規模とはいいながら満子が「ミツワ美容院」を営むからには、その都度記帳していたと推認してもおかしくない収入、支出を明らかにする帳簿類が証拠として提出できなかつた(証人徳田千鶴子は、このような帳簿類を満子死亡後焼却したと証言し、原告定森保は、これら帳簿類は当初から存在していないと供述するが)ことは、原告らの立証を極めて困難にしたというほかはない。

しかしながら、すでに認定したように、満子が美容師として「ミツワ美容院」を営業していたことはまぎれもないことであるから、満子に逸失利益がなにもないということはありえない。そして、当裁判所は、右逸失利益を算出するのに適切な証拠がない本件においては、右算定については賃金センサスによる以外にないと考える。もつとも、被告らは、右逸失利益の算定には、「ミツワ美容院」と類似する条件のもとにある近隣の同業者の所得を目安にするべきであると主張するが、このような目安とするのに適切な同業者の存在は、本件全証拠によつてもこれを認めることができないから、この主張は採用できない。

そして、昭和四七年度賃金センサス第一巻第一表、産業計、企業規模計、学歴計の二〇歳ないし二四歳の女子労働者(満子が死亡当時二一歳であつたことは、訴状添付の戸籍謄本により明らか)の項によれば、その平均賃金は一年当り金七〇万四、四〇〇円であることが認められる(なお、被告らは、同じ賃金センサスによるも都道府県別の熊本県の例によるべきであるというが、当裁判所はこれを採らない)。よつて、満子の逸失利益算定の基礎には、右金額をもつてするのが相当であると考える。

2  満子の逸失利益

満子は、死亡当時、二一歳の独身女性で年収金七〇万四、四〇〇円を取得していたとみるべきところ、その消費支出は五〇パーセントとみるのが相当であるから、満子の年間純収入は、金三五万二、二〇〇円となる。また、美容師という職業からみて、満子がもし存命していたならば、今後なお原告ら主張のとおり四二年以上は稼働可能と認められる。

よつて、以上の諸資料に従つて、ライプニツツ(年式)方式(係数一七・四二三二)により計算すると、満子の逸失利益は、金六一三万六、四五一円(円未満切捨)となる。

3  原告両名が相続した満子の逸失利益

訴状添付の戸籍謄本によれば、原告両名は、満子の父母で、かつ、相続人の全部であるから、満子の右逸失利益の二分の一ずつ、金三〇六万八、二二五・五円ずつの損害賠償請求権を相続したというべきである。

4  慰藉料

不慮の事故によつて満子を失つた原告ら両親の精神的苦痛を慰藉するためには、原告ら各自に対し、それぞれ金一五〇万円ずつ(合計金三〇〇万円)の支払をもつてするのが、まことに相当である。

5  損害の填補

以上のように、原告らは、それぞれ合計金四五六万八、二二五・五円(前記3及び4の金額を合算)ずつを、被告らに対し、損害賠償請求できるところ、自賠責保険金四八九万三、二三三円及び被告らから金二万円、以上合計金四九一万三、二三三円を受領し、この二分の一ずつにあたる金二四五万六、六一六・五円をそれぞれの損害額に充当したことを自認する。よつて、原告らが被告らに対し支払を求めうる金額は、後記の弁護士費用を除き、それぞれ金二一一万一、六〇九円となる。

6  弁護士費用

原告らは、それぞれ、被告らに対し、右5記載のとおりの金二一一万一、六〇九円の損害賠償請求をできるのであるから、この認容額、その他本件訴訟の経過に鑑み、原告らが、それぞれ、被告らに対して連帯して負担を求めうる弁護士費用は、たかだか金二〇万円ずつと認めるのが相当である。

三  結論

以上のとおりであるから、被告らは、連帯して、原告ら各自に対し、金二三一万一、六〇九円ならびに内金二一一万一、六〇九円に対する被告達男に対する本件訴状送達の日の翌日である昭和四八年四月二八日(本件訴訟記録により明らか)から、内金二〇万円に対する本件判決確定の日の翌日から、それぞれ支払ずみまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金を支払わねばならない。

よつて、原告らの本訴各請求は、右の限度で正当として認容し、その余は失当として棄却することとし、民事訴訟法八九条、九二条、九三条、一九六条をそれぞれ適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官 近藤敬夫)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例